「学歴関係ある?高卒・大卒からプログラミングで仕事にするための現実と戦略とは」の記事で、
Q:資格だけでエンジニアになれる?
A:一般的にはなれません。作品が必要です。
と書きました。
この回答に対して、「いや、例外もあるのでは?」と疑問に思う人もいるかもしれません。
結論から言うと──
資格だけで採用されるケースは確かに存在します。
ただし、それは 「ごく一部の限定された職種・企業」 に限られます。
この記事では、
- どんな資格なら資格だけで採用が起こるのか
- どんな企業や職種で起こるのか
- 逆に資格だけでは通用しない職種
- 資格と作品(ポートフォリオ)はどう使い分ければいいのか
をわかりやすく解説します。
1. 資格だけで採用につながる可能性がある資格は?
以下のような国家資格・高度資格は、企業によっては「実務未経験でも採用」につながる場合があります。
なぜなら、これらの資格は合格率が10〜17%前後と難易度が高く、基礎だけでなく実務レベルの理解があると判断されやすいからです。
● ネットワークスペシャリスト(NW)
ネットワーク領域における知識の証明。
インフラ系の未経験枠で評価されることがあります。
● データベーススペシャリスト(DB)
データベース設計・運用を深く理解していることを示す資格。
運用保守・データ管理の部門でプラスになります。
● 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)
サイバーセキュリティの国家資格。
セキュリティ企業・監査系で未経験採用の実績があります。
● 応用情報技術者(AP)
広くITの基礎を押さえているため、ポテンシャル枠で優遇されることがあります。
ただし、これらの資格を持っていても「絶対に採用される」「志望企業に受かる」とは限りません。
2. 資格だけで採用が起きる企業や職種の特徴
● 監査・セキュリティ系の企業
資格の有無を重視する傾向が強い。
登録セキスペは特に優遇されます。
● インフラ・運用保守系の企業
ネットワーク・サーバー関連の資格は即戦力扱いされることがあります。
● 一部の大手企業の「未経験・第二新卒枠」
応用情報や高度資格を持っていると面接での信頼度が一気に上がります。
● SES企業の、資格手当目的採用
資格保持者を割り当てることができると企業が受け取る単価が上がるため、
「資格あり=ビジネス上プラス」と評価される場合があります。
3. 逆に「資格だけでは全く通用しない」職種
以下の職種は作品(ポートフォリオ)なしではほぼ採用されません。
● Webエンジニア(フロント・バックエンド)
→ JavaScript、PHP、Laravelなどを使ったコード実績が必須。
● アプリ開発(iOS/Android)
→ アプリを実際に作ってストアに出す、動く作品が必須。
● AI / 機械学習エンジニア
→ モデルの構築経験やコードが必須。
● Web制作(HTML/CSS/JS)
→ ポートフォリオサイトが最重要。
つまり、
「作れるかどうか」が仕事の価値になる職種では、資格より作品。
4. 資格と作品はどう使い分けるべき?
どちらが重要かは目指す職種で変わると考えましょう。
● Web系・アプリ系 → 作品(ポートフォリオ)が最重要
資格の優先度は低い。
GitHub、成果物、コードの読みやすさが採用に直結。
● インフラ系・セキュリティ系 → 資格の重要度が高い
「基礎知識を持っているか」という証明として資格が強いです。
● コンサル系 → 資格 + 最低限の作品がベター
論理思考・基礎IT知識を示せるため、資格が高く評価されます。
5. 結論:資格だけで採用される世界は“あるにはある”が、狙うなら作品も必要
資格は強力な武器になりますが、
「資格がある=実務で活躍できる」ではないのも事実です。
Webエンジニアやアプリ開発を目指すなら、
資格よりも「自分の手で作った作品」が最強の説得力を持ちます。
逆に、
インフラ・セキュリティ・監査系を目指すなら、
高度情報処理資格が“強い扉を開けてくれる”こともあります。
つまり──
資格は入口を広げる武器。
作品は実力を証明する武器。
両方あるのが最強ですが、
どちらを優先するかは進みたい道で決めるのが正解です。
